アースアカデミー・大場満郎冒険学校 設立趣意書



● 冒険学校設立へ向けて ●

 

 

 
私は今までにおよそ15年間、世界各地を旅してきました。

南米のアマゾン川流域に住む水上生活者は赤道の真直下という
自然環境の中で、裸同然で生活していました。
川には様々な多くの魚が棲み、ジャングルにはマンジョーカ(タロイモ)や
バナナなどが自生し、人々は豊かな自然の恵みを受けて生きていました。
北極圏の人々もアザラシを 射止めたりカリブーの肉を食べたり、
鱈やオヒョウなどの魚を捕らえて生活の糧としていました。

アマゾン流域の人と北極圏の人々に共通していることは貯蓄をしないということです。
食べ物が無くなったら 狩猟に出かけ、
しかも自分達で食べる分の量しか捕えないのです。

経済優先の先進国にある考え方とは違って、自給自足の生活を続けているために
資源が枯渇することもなく、古来の文化・生き方を守り通して生きているのです。
最近の日本社会の現象を見ると、人々の気持ちから余裕が失われ、
本来の人間性の姿が出しづらい社会に なったような気がします。

あまりに規則や競争の波に流されつづけて来たのではないでしょうか?
私はこれまでの冒険(旅)人生を通じて、人間本来の豊かな生き方を提案したく考えました。
それが冒険学校に託す私の気持ちです。

 


● 農業体験 ●

 

 

 田圃の泥土に素足で入り、田植えを行う。
時々ひまな人は田舎へ行き、自分の植えた稲の成長を見守る。
草むしりをする。
秋には、手鎌で稲刈りをして杭掛けによる自然乾燥を行う。
その後に、脱穀、精米し、食する。
つまり自分で自分の稲を育て食べるということを体験するのです。

このような自然な稲作を体験すれば、作物を育てる楽しみ、
食物のありがたみを肌で感じることができるのではないでしょうか。

無農薬米の栽培を通して「安全な食」を考える糸口を見つけます。
食物が人体を守り育てる重要な要素であるという強い認識が、
水や空気、土壌、そして太陽の恵みに感謝する気持ちに結び付いて行きます。

このような農業体験を田舎と都会、そして海外の子供達と一緒に行うことによって、
互いに異文化に触れ、グローバルな視点で物事を考え実践できる気持ちが
育って行くものと信じます。

国境なく漂う大気や水の保全は、全世界の協力がなければ解決は難しいと思います。

 


● サバイバル体験 ●

 

 私は極地の旅を通していろいろな体験や感じを持つことができました。
極地の旅は厳しい自然の中で日々生活をすることであり、
常に冷静に物事を判断して行動することが必要です。
精神面の強さが求められます。短い言葉で言えば「自立心」が不可欠です。
私の考える自立心とは、頭(脳)で考え、準備を重ね行動し、
その結果に責任を持つということです。  

単独であれグループであれ、各個人がこの自立心を胸に秘めることが
人生の基本だと思っています。  
極地では常に自然の変化や自分自身の気持ちの変化に注意を払い、
冷静心を持つことが大切です。  
厳しい環境の中に身を置かれると、生命力や思考力や肉体的な力が発揮され、
自分の気持ちが素直に見えてきます。
謙虚な気持ちが芽生えてきます。  
すると、自分の生命や他のあらゆる生き物も含めた命の貴さが実感できるのです。  
地球の形や大きさを教えてくれるのです。  

冷静心を失わないように心掛けていたことが三つあります。

 1.自然への畏敬の念を持つ。
 2.謙虚な気持ちを持つ。
 3.感謝の気持ちを持つ。

  無理な頑張りや気負いは疲れるし、危険にも気づかない。
全てに感謝の念を持ってコツコツ、ゆっくり、焦らずに歩くことにより
順調に進めることが分かりました。
自然は人間に様々なことを気付かせてくれる先生のような存在だと思います。
自然の中に身を置くことにより本来の心豊かな人間性を発揮できると確信しています。

冒険学校では私も含めて自分自身を見つめ直す機会として、
プログラムを考え実践していくつもりです。
原野、極地でのキャンプ生活と探検を通して自立心を得てもらえればと思っています。

皆様のご理解ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

 



大場満郎


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